コンテンツへスキップ

換気の目的とは?考え方と空気の通り道、換気システムは1種2種3種?

換気とは室内の汚染された空気と外気の新鮮な空気を入れ替えることを指します。

室内の空気は、”細菌’、”ウイルス”、”有害ガス”、人体や水回りから発生する水蒸気など目に見えない物質が混ざり合い漂っています。また、日本は四季があり季節によって気温と湿度が大きく変化します。居住する空間の湿度を適度に保ち快適な環境を形成すること、前記した汚染された空気を排出し、外気の新鮮な空気を取り入れることは人間の健康面を考えると必要不可欠です。

換気は大きく分けて”全般換気””局所換気”に分けられます。考え方としては”全般換気”=24時間換気を常時稼働させつつ、キッチンやトイレ、浴室等の臭気を放つ箇所・湿度が高い箇所に”局所換気”を設置します。
一般的に2つの換気方法を併用して計画していきます。

全般換気

一般的に建物全体の換気、いわゆる24時間換気を指します

局所換気

一般的に建物内の一部分、レンジフード・トイレ・浴室等の独立換気を指します

全般換気=24時間換気

24時間換気とは、外気を取り入れる”給気”、室内の汚染された空気を排出する”排気”を行うための換気装置を設設けることです。給気・排気共に”機械換気”または”自然換気”のどちらか、または組み合わせて行いますが24時間換気システムの”第1種換気’、”第2種換気”、”第3種換気”ではその組み合わせ方に違いがあります。

24時間換気の義務化

”2003年建築基準法の改正”により、機械式で常時換気する”24時間換気システム”の設置が義務づけられました。
1年間365日24時間、常に付けっぱなしの換気システムです。
これを換気回数で表すと0.5回/hですから、1時間で部屋の空気が半分、2時間で部屋の空気が全て入れ替わるように設計しなければなりません。これを元に全ての換気計算をしていきます。

必要換気量は、換気回数(回/h)×居室の床面積(㎡)×天井の高さ(m)で求められます。
仮に居室で床面積が50㎡、天井高さが2.5mで計算すると
0.5(居室)×50㎡(床面積)×2.5m(高さ)=62.5(㎥/h)
この数値を超える換気量を設計に取り入れていくことになります。

義務化の背景

近年の住宅は熱を外へ排出しないように高気密高断熱が主流となりました。その結果、気密性が良すぎるあまりに、建材や家具などから発散されるホルムアルデヒドなどの有害化学物質などを外へ排出することができなく『シックハウス症候群』が大きな社会問題になりました。
対策の一つとして、2003年に建築基準法が改正され、換気設備の設置が義務付けられたのです。

Point 24時間換気

構造又は国土交通大臣の認定を受けた構造の換気設備を 設けなければならない。
※2 別に定める高い気密性を有する構造方法の例
○ 気密性 を高めた枠組壁工法や在来工法の木造、開口部の少ない鉄筋コンクリート造等、隙間からの漏気による換気量が少ないものを想定。
※3 別に定める換気設備の構造方法の例
○ 圧力損失等を考慮した換気設計を行うもの 等
居室の種類 換気回数 住宅の居室等(※2) おおむね0.5以上 上記以外 おおむね 0.3 以上
※1 1時間に換気することができる空気の容積を居室の容積で除した数値をいう。以下同じ。
※2 住宅の居室、 寄宿舎の寝室、ホテル、旅館若しくは下宿の宿泊室又は物品販売業を営む店舗の売場その他これらに類する居室をいう。以下同じ。

建築基準法関係シックハウス対策 技術的基準

局所換気

24時間換気とは別に浴室・キッチン・トイレなど湿気や臭気が発生する場所において”必要なときだけ換気を行う”換気を指します。

結露対策

入浴した後、お風呂は湿気100%ですからカビの発生が懸念されます。キッチンも同じくお湯を沸かすだけでも水蒸気が発生し室内の湿度は大きく変わります。自己的に換気を行い湿気による被害を抑制する目的があります。

臭気対策

キッチンで魚を焼いた場合や、トイレのアンモニア臭など汚れた空気がそのままでは生活に澱みが生まれますね。
基本的には速やかに排出する必要があります。臭いのは誰しも嫌ですから。

換気の入り口・出口

換気とは、室内の汚れた空気を排出して外の新鮮な空気と入れ替えることです
この”室内の汚れた空気”をいかに効率よく排出できるかが鍵となります。また排出された空気が再び室内に入ってこないようにする工夫も必要です。ですから、空気の流れ方を熟知し”換気経路”を計画することが重要なのです。

給気口

新鮮な空気を室内に取り込む”入り口”です。第1種換気、第2種換気では機械式で動きます。
構造は至ってシンプルで内部ファンを使って掃除機のように外気を吸います。
第3種換気では機械式ではなく自然給気になります。

排気口

室内の汚れた空気を排出する”出口”です。第1種換気、第3種換気では機械式で動きます。
こちらも給気口と同じようにファンを使って外へ排気する仕組みです。
第2種換気では機械式ではなく、自然排気になります。

この給気口・排気口には機械式で換気扇のように強制的に行う”機械換気”、開口にフィルターを付けただけの”自然換気”のどちらかが設置されます。

機械換気の特徴

換気扇のように送風機などを用いて強制的に換気する方法のために換気量を制御することが可能で計画的な換気を行うためには重要な換気方法です。

フィルターを取り付けたり熱交換機を取り付けて熱の回収をすることも可能です。安定した確実な換気量を得ることができる

自然換気の特徴

空気の温度差による対流、窓を開けることによる通風、機械換気による空気の押し出し・吸い込みなどを利用して自然な換気を行う方法です。

自然換気は状況によって換気量が変動するために安定した換気量を得ることが難しい。”換気経路”を深く考える必要があります。

空気の通り道

簡単な例を挙げると図の黒い矢印が空気が動く通り道です。このように給気口と排気口は部屋の隅と隅へ取り付けることが理想。部屋の大きさ、高さのある置物など様々な要因を考えて設置場所を決めていく必要があります。
また、給気口と排気口は近すぎてはいけません。なぜなら、排出された汚れた空気を給気口が再び吸い込んで戻ってくる恐れがあるからです。

さて換気の構造がわかってきたところで24時間換気システムの方式を説明します。
”第1種換気”、”第2種換気”、”第3種換気”の3種類です

第1種換気

第1種換気は”給気”と”排気”を同時に機械ファンで強制的に行います。

第2種換気

第2種換気は”給気を機械ファン”で行い、”排気は自然排気”します。

第3種換気

第3種換気は”自然な給気”を行い”排気に機械ファン”を用います。

換気システムはこちらで解説しています。
24時間換気はどれが良い?

24時間換気はどれが良い?施工会社の換気の考えを確認しよう。

24時間換気とは 2003年建築基準法の改正により、機械式で常時換気する”24時 ...

悪い例が給気口と排気口を設けて”換気経路を考えないこと”。
設置さえしていれば建築基準法では問題ないですからね。
1番に言えることは換気は構造体と同じく”バランス”