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布基礎vsベタ基礎 優劣はありません。ネットの勘違いが横行中。

    まず基礎とは?

    建物を支える”基礎”、人間の部位で表すと足の裏のような非常に重要なポジションです。
    基礎の意味は以下の通りです。

     ある物事を成り立たせる、大もとの部分。もとい。「基礎がしっかりしているから、上達が早い」「基礎を固める」「基礎知識」

    goo国語辞典

    このように基礎があってこそ物事が成り立ちます。
    基礎は建物の重みを地面に伝える役割を持ちますので、
    建築の場合も基礎がしっかりしていなければ建物は成り立ちません。

    布基礎とベタ基礎どちらが優れているか、よくお客様から聞かれますが一言で

    優劣はありません

    構造面だけで言えば、”ベタ基礎”の方が確かに強いです。
    それは構造上の話であったり、コンクリート・鉄筋の量が布基礎の約1.5倍またはそれ以上だから。
    しかし、場合によっては過度な強度です。余分なコストをかけてまで必要以上の強度を保つ必要はありません。
    状況によっては”布基礎”の方がバランスの観点で強いことも多々あります。

    ではなぜ優劣がないのか。

    それは地域や地盤など様々な要因により
    適している or 適していないの違いです。

    まず基礎を形成する前に土地の地面の中身を知ることです。
    言葉通りですが、これを”地盤調査”を行います。

    ”地盤”は長年蓄積された層です。場所によって岩盤であったり、砂利層であったり、粘土層であったりと様々です。
    ではどんな地盤が良いかと問われたら?簡単。
    ”硬い地盤”が良い地盤で、”柔らかい地盤”が悪い地盤です。
    地盤が硬ければ不動沈下は起きにくいですし、柔らかければ起きやすい。
    目で見ることのできない部分ですので、専用の機械を用いて正確に調査する必要があります。
    この調査では専用の機械によって地盤の固さを”N値”と呼ばれる数値にし、強度を確認します。

    近くに田、川、海など”水”が存在する場合は地盤が弱い土地である場合が多いですね。

    弱い地盤の場合にはどちらの基礎にせよ事前に対策する必要があります。
    その対応策に”杭工事”です。

    ・表層改良
    比較的浅い2m以下の位置に良質な地盤がある場合に用いられます。セメント系の固化材を土と混ぜ合わせ地盤を固めてしまう工法で、費用を最小限に抑えることができます。
    ・柱状改良
    良質地盤が2m〜8mまでの位置にある場合に用いられる工法です。
    工場生産のコンクリート杭を現場まで持ち込み打つ方法と、現場で柱状に穴を掘りセメント系の固化材を混ぜ合わせながら地中で杭を造ってしまう方法があります。
    鋼管杭
    硬い地盤の位置が30mまでの場合用いられる工法です。
    ”鉄製の杭”を打ち込むことになりますから最も費用がかかります。

    硬い地盤まで打つ杭を”支持杭”といい、硬い地盤まで到達できないほど距離のある場合には”摩擦杭”を打ちます。
    摩擦杭は側面が凹凸状になっており、硬い地盤までに達することなくとも杭と土の摩擦力で不動沈下を防ぐことができます。

    Point
    金額は”表層改良”が一番安く、次に”柱状改良”、”鋼菅杭”と上がっていきます。
    地盤の状況、必要材料、必要長さ等で金額が大きく違ってきます。
    もちろん元々が良質地盤で地盤改良が不要な土地も存在しますよ。

    布基礎”とは”点”でお家を支える構造の基礎工法です。
    図のように構造上、お家の床下にあたる部分は耐震とは無関係で、土からの湿気をお家の中に入れないための薄いコンクリートとなっています。
    適切な施工を行うことで十分な強度を出すことができます。

    最大のメリットはコストを抑えれること。
    ※寒冷地の基礎方式はほぼこの布基礎で行われます。

    ”ベタ基礎”とは、”面”で建物を支え、立ち上がりから土間まで全て繋がった構造の基礎工法です。
    面で支える為に耐震性に優れ、基礎全てが繋がった構造のためにシロアリの被害を受けにくい理想的な形です。
    デメリットとしては鉄筋・コンクリート・残土が布基礎より多くなるため約1.5倍コストがかかります。

    布基礎は”点”で建物を支えるのに対し、ベタ基礎は”面”で建物を支えるため不同沈下が起こりにくい基礎になっています。

    気温が0度を下回る地域はコスト面で”布基礎”が適しています。
    寒冷地では”凍結深度”というものが設けられ、この”凍結深度”よりも下に基礎の底面を設置しなければなりません。(例:地面より600mm)

    その理由は地中の水分が凍結・膨張して基礎を持ち上げてしまうからです。
    氷が?基礎を持ち上げる?と思われるかもしれませんが、数十Mpa(1Mpa=1㎡約100t)もの力がかかりますので簡単に持ち上がります。
    幾度となくこの過程が行われると建物が歪み、力の分散が上手に働かず重大な結果へと繋がります。

    布基礎は比較すると地中深く造るのに対し、ベタ基礎は構造上深くまで基礎を造りません。
    そして、基礎を造る為には必ず土を掘り不要な残土は処理します。
    布基礎は掘った土を再び埋め戻す作業を行いますが、ベタ基礎はこれをほぼ行いません。
    通常のベタ基礎分の残土+凍結深度分の残土ですから、コスト面で布基礎には決して敵わない。

    寒冷地の場合”ベタ基礎”はどうしても必要以上のコストが必要です。
    よほど、こだわりがない限り”布基礎”一択。

    Point

    布基礎とベタ基礎はよく比較されます。
    お家を造るにあたって重要なのは”バランス”です。
    ベタ基礎が耐震性に優れているのは確かですが、布基礎でも一般的な住宅では十分に必要な耐震性を確保することができます。
    耐震性を気にするのであれば、基礎よりも地盤に目を光らせた方が良いでしょう。
    そして地盤から基礎を含む建物、全体で対策をすることが重要です。
    もう一度言いますが、お家に必要なのは”バランス”です。不足でも過剰でもいけません。