吹き抜けは意匠性にあふれ憧れを抱く方も多いでしょう。
しかし、一歩間違えば吹き抜けは諸刃の剣。デザイン性を取ることによって様々なことを失ってしまう可能性も。
その一歩は事前に確認すれば防げることであるから、ここで解説していこうと思います。
早くも結論
吹き抜けを計画するのであれば、
吹き抜けの大きさには注意するべし
高気密・高断熱仕様の住宅にするべし
デザイン性を重視するのであればやるべし
メリット
- デザイン性に富む
- 開放的で広々と感じる
- 明るく感じる
デメリット
- 熱効率の低下
- 2階の音が丸聞こえ
- 掃除がしにくい
メリットとデメリットを見比べて考えてみましょう。
吹き抜けは開放的で広々と感じます。大きなサッシを取り付ければ明るく、化粧梁やオシャレなライトなどをつければデザインのやり甲斐もあります。
しかし、1階と2階が繋がっている分、住宅全体の断熱性能が高くなければ住み心地が悪い。
お家の周りをしっかりと断熱材で覆い、高性能なサッシを付けて外気温をできる限り遮断しなければ夏は暑く冬は寒いお家に仕上がります。
さっそく紐解きましょう。
吹き抜けの構造
一般的な木造住宅の場合、プレカット材と呼ばれる骨組みをして、その上に”合板”と呼ばれる板を貼り、フロア材を敷いて床を造っていきます。
私たちが今、床に足をつけていられるのは、このプレカット材があるためです。
吹き抜けは部分的に”あえて”このプレカット材を抜いて計画していきますので重要な骨組みがなくても”耐力”を保つように、うまく設計していかなければなりません。
また、一般的にプレカット材の発注は大工工事が始まる1ヶ月〜2ヶ月前に行うことが多いです。ということは。
早い段階でプランを確定しておかなければ実現できません。
耐震性
前記したことから耐震性に疑問が生まれたでしょう。これは1番に考えなければならない事です。
建物には”耐震等級”と呼ばれるランクが付属します。
耐震等級1〜3まで存在し、高くなるほど耐震性の高い住宅なります。
地震大国である日本であることから建築基準法によって義務付けられているものです。
point
吹き抜けの大きさには注意が必要です。
耐震性の最低限ライン”耐震等級1”の場合、4m×4mが吹き抜けの大きさの限界です。
これ以上の大きさを求めるのであれば耐震等級を上げなければなりません。
しっかりと施工会社に確認しましょう。
●耐震等級1
建築基準法で定められた、最低限の耐震性能を満たしている建物を指します。
数十年に一回は起こりうる 大きさの力に対して、大規模な工事が伴う修復を要するほどの著しい損傷が生じないようにすることを、「数百年に一回は起こりうる大きさの力に対して、損傷は受けても、人命が損なわれるような壊れ方をしないようにすることとされています。
簡単に地震で表すと震度6強、7で倒壊して人は死なないが、その後住み続けることはできない建物ということです。
●耐震等級2
耐震等級1の1.25倍の倍率の耐震強度があること。
ちなみに「長期優良住宅」として認定されているのであれば耐震等級2以上はあります。
住宅とは少しそれますが、学校や病院・警察などは必ず耐震等級2以上の強度を持つことが定められています。
●耐震等級3
”耐震等級1”の1.5倍の耐震強度があること。耐震等級の中でも最も高いレベルです。
記憶に新しいのは熊本地震。8160棟もの住宅が倒壊した中で耐震等級3の住宅は1棟も倒壊していません。
大きな地震が起きてもそのまま住み続けられる強度です。
熱効率のお話し
耐震性の次に重要なものは”熱効率”の観点です。
四季のある日本では冷暖房は欠かせないですよね。
しかし、家全体の断熱性能が高くない場合は?拍車がかかって非常に住み心地が悪いお家が出来上がります。
熱い空気は上へ上がる性質があるために、1階と2階に温度差が生まれます。各居室を部分的に冷暖房を行う場合は特に注意。
夏の2階は暑く、冬の1階は寒いことになるからです。
光熱費の増加にも繋がります。
Point
断熱とは熱を伝わらないようにすること。
夏の暑さ、冬の寒さを室内に伝わらないようにするだけではなく、反対に室内を保温する効果もあります。
エアコン、パネルヒーター、床暖房など空調システムに目が行きがちですが、
見るべきところは建物全体を囲うように、全体が一定の温度を保つようにする断熱方法。
施工会社がどのような対策を行なっているか、どのような断熱材・サッシ等を使っているか把握することが大事。