建築基準法としての”採光”
住まいにおいて、”採光”と”照明”は非常に重要な要素です。
”採光”については建築基準法で定められた決まりがありますし、
”照明”に関してはK(ケルビン)、lm(ルーメン)、cd(カンデラ)、lx(ルクス)と様々な単位があります。
照明器具を買う際に最も気になるところでしょう。
これらを紐解いていきます。
前提として建築基準法では以下のように規定されています。
○建築基準法第28条第1項及び建築基準法施工令第19条に基づき、住宅、学校などの居室に、採光のための窓等を設置することを義務付けている。
国土交通省
○その採光に有効な窓等の面積は、住宅の場合は各居室の床面積の1/7以上、その他の建築物の場合は居室の床面積の1/10〜1/5の政令で定める割合以上としなければならない。
要約すると
リビングや洋室など常時生活をすることを想定した部屋では床面積の1/7の”採光に有効な”窓等を必ず設置しなくてはなりません。
ただし”常時生活”ですから、トイレ、浴室、収納などはこれに当てはまりません。
採光ってなんぞ
採光とは、太陽の光を光源に用いた照明です。外部からの自然光であることから昼光照明とも呼ばれます。
窓を設置する最も大きな理由はこの”採光”です。また窓の位置が高ければ高いほど採光には有利に働きます
プライバシーの問題
外からの視線が気になる…でも採光が…と思う方も多いでしょう。
対応策としては以下です。
- 不透明タイプのガラスにする(型ガラス等)
不透明タイプのガラスは光の透過性が低いように思われるかもしれませんが、入る光の量は変わりません。
ご安心を。
※”型ガラス”、”フロストガラス”は雨に濡れても問題ありませんが、”すりガラス”は雨に濡れると透明になり室内が丸見えです。ご注意を。
- カーテンをつける
一般的に窓にはカーテンをつける場合が多いですが、ちょっと待ってください。
その窓から外を見ますか?
よく考えてください。隣地の家が近い場合、窓からの景観なんかどうでも良いはずです。型ガラスで十分。
天窓は採光の効率が良い!
屋根などに設置する”天窓”は開放感と共に”天空光”を直接採り入れることができます。
最大のメリットは、天空光は直射光等と違い安定した採光が望めます。
光熱費削減にも最適ですが、唯一のデメリットが存在します。それは
漏水の原因となります。
構造的に天窓と屋根の取り合い部分にはシーリングを打ちます。サイディングの繋ぎ目にあるゴムのような材料です。この材料はいつか必ず劣化し、漏水の元となります。
また初めに雨が当たる部分は屋根です。外壁面の窓と天窓を比較すると穴が空いていて大きな事件が起きるのは天窓とすぐ想像できるでしょう。
建物は必ずメンテナンスが必要で、まず目視で確かめます。しかし、屋根に上がらなければ天窓の劣化具合がわかりません。数年おきに、このメンテナンスを怠らないことが重要ですね。
人工照明とは?
電気エネルギーを用いた人工光源による照明です。自然採光に比べ、季節・天気に左右されないために一定の明るさを保ちやすいのが特徴です。
現代照明は”LED電球”が圧倒的人気です。それもそのはず、
”白熱電球”の寿命は1000時間〜2000時間ほど。
対して”LED電球”の寿命は40000時間です。
1日に10時間照明をつけると仮定して寿命を比較してみると、
白熱電球3ヶ月前後、LED電球11年前後と差は歴然。
消費電力が低く、且つ長持ちであれば誰もが乗り換えるでしょう。
ちょっとした知識
実用の観点から見ると白熱電球は142年前の1879年、時代は明治で沖縄県が誕生した年でもあります。対してLED電球は1996年、そろそろ30年を迎えようとしています。発売当時の平均価格は6000円前後と決して安くはありませんでしたが、現代では普及が進み数百円で買えるまで低価格化が実現しています。
K(ケルビン)lm(ルーメン)cd(カンデラ)lx(ルクス)
この単位は電球などを購入する際に確認する必要があります。
K=色温度
まず初めにK(ケルビン)は光の強さ・量に一切関係ありません。
色温度とは、光の色を数値で表したものです。
この温度は数値が低いほど赤く、高いほど青い光になります。
照射する物によって適している色温度があります。
例えば食事の際には色温度が低い方が食欲を掻き立てられ且つ美味しそうに見えるでしょう。
反対に勉強や仕事をする際には色温度が高い方が文字などが見えやすく、適していると言えます。
lm=光の量
lm(ルーメン)は光の全体量(光束)を表す単位です。
一般的にこのlm(ルーメン)の大きさを見て照明の明るさを判断します。
このlm(ルーメン)の数値が大きければ大きいほど明るいと思っていただいて差し支えありません。
※一昔前までの明るさ表記
LED電球が普及するまでは”lm(ルーメン)”表記ではなく”W(ワット)”で明るさを判断していました。
以前までは白熱電球の明るさ=消費電力でしたからこのような判断方法だったのですが、LED電球は発光の構造が違います。LED電球は消費電力が低いために表記の方法に錯誤が生まれるわけです。
ですから、LED電球の商品によっては”W相当”と記載するようにしました。
例えば”100W相当”と記載があったとしましょう。
それは白熱電球100W相当の明るさを持ったLED電球の意味となります。
昔のように一概にW数で明るさを判断しないように気をつけましょう。
以下表に必要明るさをまとめました
4.5畳では2200lm〜必要となっていますので
計算上は500lmの照明器具が4灯で十分明るさが確保できる計算になります。
cd=光の強さ
cd(カンデラ)は光の強さ(光度)を表す単位です。
lm(ルーメン)は全体的な明るさを表しますが、cd(カンデラ)は一定方向の明るさを表します。
”ある特定の方向に照射される光の強さ”を表していますから照射する角度によっては数値は大きく変化します。住宅で使用されるシーリングライトのように全体的な明るさではなく、暗闇で使う手持ちのライト、車のヘッドライト等のような一点集中型のものによく表記されます。
ですから、cd(カンデラ)表記はあまり目にすることが少ないかもしれません。
lx=照射面の明るさ
lx(ルクス)は光が照らされた面が受ける光の明るさ(照度)を表す単位です。
lx(ルクス)は壁、床など照らされている場所の明るさを示します。
参考画像のように同じ1000ルーメンの照明器具を用いても実際に光が当たる部分の明るさは、
距離が遠い方は暗く、距離が短い方は明るくなり、その分の明るさの誤差が生まれます。
このようにlm(ルーメン)と似ているようで全く違う光の明るさを示す単位ですので、注意しましょう。